Leadership Insight

できる上司に“シフト”するための6つのポイント

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/09/09

なりたてマネージャーがリーダーシップを発揮するための6つの“シフト”

今年になって昇進し、初めて管理職になられた方もいらっしゃるかと思います。「管理職に就く」というのは、単なるタスクの変更だけではなく、自己認識、アイデンティティの根本的な変化を意味します。できる管理職、できる上司になるためには、自分で仕事をすること(individual contributor)から他の人を動機づけ、行動を起こさせることを通して仕事をすることへと移行しなければなりません。これには、新しいレベルの自己認識、追加で必要となるスキルの理解と獲得、および管理職としての成功の再定義が必要です。

世間一般の「なりたて管理職」の最初のつまづきは、成功・成果の定義をする際に、「自分のパフォーマンス」に焦点を当ててしまうことです。管理職、マネージャーの成功の定義には他の人の成功を含める必要があります。

  • 自分が率いるグループまたはチームはどのように業務を遂行するか?
  • 自分のグループ・チームにいる個々人はそれぞれ十分な能力があるだろうか?
  • チームメンバーは協力しあっているか?
  • チームメンバーのコミットメントのレベルはどうか?
  • 個々人のモチベーション、行動を起こす動機やと仕事・プライベートのニーズは、仕事と組織に所属することでどのように満たされるだろうか?

皆さんがこれまで培ってきた「My Skill/My Capability/My Knowledge & Experience」だけでは上記の問いかけに対して十分にこたえられないと気が付くかもしれません。実際、過去の経験に固執してしまうがために、成果を出すのに苦労している管理職を皆さんも見たことがあると思います。

私達のリサーチを通じて明らかになった「なりたてマネージャーが行うべき6つのシフト(移行)」を活用することで、短期間でできる上司になるためのヒントを掴んで頂ければと思います。

なりたてマネージャーが行うべき6つのシフト(移行)

新しい管理職、そしてリーダーとして、皆さんはできる上司になりたいと思っています。その新しい役割で成功するには、これまでの役割からリーダー、マネージャーへとシフト(移行)する必要がありますが、特に重要なシフトは6つあります。

1. マインドセット(MINDSET):皆さんはこれから、自分自身を律することで成果を出すだけでなく他の人を動かして成果を出す立場にいます。他の人に効果的に働きかけ、成果を挙げるための手法をできる限り手元に集めましょう。

2. 人間関係(RELATIONSHIP):かつての「同僚」はいまや「部下」になっているかもしれません。このような場合、仕事では「上司」の顔で、仕事以外ではかつての「同僚」の顔でいたいと思うかもしれませんが・・・

3. 態度(ATTITUDE):皆さんは全てを自分でやろうとせずに、他の人に権限移譲していく必要があります。

4. 視野・視座(PERSPECTIVE):“木を見て森を見ず”に陥らないようにしなければなりません。

5. 焦点(FOCUS):簡単なことや自分だけでできることではなく、“正しいこと”に焦点を当てて集中します。

6. スキルセット(SKILLSET):チームをより効果的に率いるための新たなスキルセットを獲得する必要があります。

1.マインドセット(MINDSET)をシフトする

管理職になって人をマネージし、リードするようになったら、個人として成果を挙げる方法ではなく、結果を出すための新しい方法を学ぶ必要があります。それは、グループの目標を達成するために、各直属の部下を最大限に活用することです。この新しい役割では、可変性(Versatility)が皆さんにとっての最高の武器になるかもしれません。

可変性があるリーダーであるということは、結果を達成するためにさまざまな解決策を選択できることを意味します。可変性には、自分の好みや行動に目を向け、他の人を正確に読み、なりたてマネージャーが直面するよくある課題に対処するためのさまざまな戦術を学ぶ必要があります。

まずは自分の長所、短所、行動パターンを確認します。結局のところ、自分が誰であるかという明確な自己認識によって、自分がどのように他者をリードするかが決まります。個人のパフォーマンスに重点が置かれなくなったとしても、自分自身の自然な好みや傾向を理解しておく必要があります。 言わずもがなですが、自分の好みにあうアプローチが他の人リードする際に最も効果的なアプローチであるとは限りません。

たとえば、皆さん自身が厳しい締め切りのプレッシャーの下で最後の最後で難局を切り抜けたことで成長したという成功体験を持っているとしましょう。「最後は何とかなる」という折れない信念は称賛に値するかもしれませんが、このアプローチが他の人にも当てはまるとは限らないということを理解しないまま、マネジメントを行えば、不十分な計画の許容に繋がり、締め切り間近になると突如としてマイクロマネジメントをせざるを得なくなり、他のチームメンバーの力を借りなくてはならない状況に陥るなどの可能性があります。

成功するには、新しいことを学ぶためのオープンなアプローチが必要になります。私たちの調査によると、最も成功しているなりたてのリーダーは、これまでとは異なる環境・状況にあっても新たなことを学習することが楽しく、刺激的で、魅力的であると感じていることを発見しました。

2. 人間関係(RELATOINSHIP)をシフトする

皆さんの以前の仲間(その一部は皆さんの親しい友人でさえあるかもしれません)は今、管理職である皆さんに報告する立場へと変わっています。さらに、皆さんは単なるチームメンバーではありません。皆さんは今、チームを率いており、他の人をやる気にさせ、行動を起こさせることを通じて成果をあげる必要があります。

かつての「仲間」の役割から管理職・上司へのこのシフトは難しい場合があります。同僚や友人であった元同僚は、皆さんが管理職になって指導的立場になると皆さんへの見方が多少なりとも変わってくるからです。これは誰にでも起きうることであり、いくつかの役立つヒントもあります。

  • 友人や元同僚に管理職となった皆さんの明確な期待を設定します。
  •  チームメンバーを公平に扱いますが、必ずしも平等である必要はなく、好意ではなく成果に基づいて昇給、賞与を決定します。
  • 例外を創らず、部下との質の高い関係をつくります。
  • 役割と責任を明確にし、各メンバーの進捗状況を把握することにより、チームの結束を強化します。

これまでの個人的な関係からチームにおける管理職とメンバーのとの関係に焦点を合わせることができていないリーダーは思うようにリーダーシップを発揮することはできません。

3. 態度(ATTITUDE)をシフトする

すべての作業を自分で行うことは、もはや目標ではありません。生産性の高いリーダーは、これまで自分がメンバーとして遂行してきたタスクを、今度は管理職として自分の部下・メンバーに委任・権限移譲することでチームの結果を推進します。そうしないと、チームメンバーが停滞し、生産性が低下し、組織が苦しむことになります。さらに、権限移譲をすることはチームへの信頼を示します。

仕事の定義、考え方、行動の方法も変えたいと思うでしょう。皆さんの職務記述書には、従業員の育成(つまり、他の人のコーチングやメンタリング)に時間を費やすことが含まれるようになりました。チームメンバーの目標を設定し、チームメンバーの成長に役立つフィードバックを提供する必要があります。

4. 視野・視座(PERSPECTIVE)をシフトする

新たに管理職になった人が直面するのは組織内の政治問題です。組織とは人の集団であり、どのような規模でも社内政治は存在します。社内の政治的側面を無視または軽視すると思わぬ罠が待ち受けていることもあります。

社内政治にアレルギー反応を起こす前に、リーダーシップを効果的に発揮するための必要な要素として考えてみてください。 社内政治に精通しておくことは決して悪い面ばかりではなく、時には生産性を高めることにもつながります。

  • 組織内の利害関係者を把握し、その利害関係者の関心事、ニーズに関する情報を収集します。
  • 利害関係者の動きをよく観察し、自分自身が取るべき行動を戦略的に決定します。
  • 社内ネットワークを構築し、新しい情報を入手し、チーム(および利害関係者)の目標に対するサポートを実行します。

5. 焦点(FOCUS)をシフトする

管理職になったリーダーが果たすべき責任は、これまで自分ひとりで遂行できた仕事を続けることや『常に正しいことのために行動すること』です。新しいリーダーであっても既に経験豊富なリーダーであっても、その双方が自らの行動と意思決定が大きなインパクトをもたらす可能性があることを深く理解して老いなければなりません。リーダーがとる『正しい』行動と意思決定の根底には誠実さと人格があり、迷いが生じた場合には、誠実さに基いてすべてのことで「正しい」ことをする必要があるのです。

皆さんの言葉や行動が皆さんのチーム、組織、そして関係するすべての人にどのように影響するかを考えてください。自らの内側に誠実さを持つこと、そして持ち続けることは大変な努力と時間が必要ですが、以下のようないくつかの原則を守ることが大事なのです。

  • 慎重に決めること:重要な決定を下すときは、「母親(または皆さんの人生の他の重要な人物)は自分の意思決定についてどう思いますか?」と自問自答します。
  • 正直であること:できることとできないこと、そしていつまでに実行できるかについて正直である必要があります。
  • 枠にとらわれないこと:これまでの人間関係、時間的なプレッシャー、または金銭的な報酬等を意思決定基準のトップに持ってくるのは間違いです。自分の決定と行動がどのような結果をもたらすのか、これまでの枠にとらわれることなく、冷静にみることが重要です。

誠実さを重視し、チームとの信頼関係を築くと、誰もが信頼し、尊重するリーダーになります。

6. スキルセット(SKILLSET)をシフトする

なりたて管理職が躓きやすいポイントに「これまでのスキルセットへの過度の依存」があります。これまでのスキルセットとは組織やメンバーとして個人の業務を遂行するためのスキルであり、管理職としてのスキルとは異なります。したがって、スキルセットを変え、他の人をリードするための主要なスキルセットの強化に取り組む必要があるのです。

  • コミュニケーションをとる相手が心地よいアプローチでコミュニケーションをとります。(自分中心ではなく相手中心)
  • 自分で何でもやるのではなく、他の人に影響力を行使して業務を進めたり、意思決定のサポートを得ます。
  • 効果的にチームを編成しリードします。
  • 他の人にやりがいのあるタスクを割り当て、継続的にフィードバックを提供することで、メンバーのスキルを開発・向上させます。

 

私たちの調査でも、管理職への昇進の一要素となったファンクショナルスキル、テクニカルスキルにのみに依存している場合、管理職の立場で効果的にリーダーシップを発揮できていないことは明らかにされています。

自分の長所と短所をうまくコントロールできるようになるだけでなく、他の人の視点や価値観を理解しようとすることで、新しい役割での長期的な成功の可能性が高まります。効果的なコミュニケーションを促進およびモデル化し、非難する代わりに解決策を探し、建設的なフィードバックを提供し、個人と組織のニーズを結び付ける方法を見つけるためのツールがあるのです。

なりたて管理職のためのこれらのリーダーシップのヒントやシフトすべき6つのポイントをおさえるだけでも皆さんができる上司になれる可能性を高めることができるのです。