Leadership Insight

タフな会話のこなしかた:重要な5つのステップ

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/09/24

5つのポイント

扱いが難しい年上の部下、話を聞いてくれない上司等、職場にはコミュニケーションをとるのが難しい相手が存在しています。こちらが冷静に会話をしようとしても、相手がいきなり怒り出し、皆さんに不満をぶちまけてきた、なんていう経験をお持ちではないでしょうか?

ネガティブなフィードバックを行うと言った場面ではこのような現象は避けることができないようにも見えます。実際、『タフな対話』を実行するスキルはリーダーが持つべき必須スキルであり、変革の局面に限らず日常業務の中でも避けて通れない経験です。このような『タフな会話』をしなくてはならない場面をどのように効果的なものにできるでしょうか?ケースバイケースに見えるこの緊張の場面ですが、実はありがちな間違いを理解し、その後、タフな会話へと進む必要があるのです。

70万部を超すベストセラーとなった『ハーバード流交渉術』の開発者が記した 『話す技術・聞く技術―交渉で最高の成果を引き出す「3つの会話」』によると、私たちは会話で3つの大きな誤りを犯すことがよくあります。

  • 私たちは、相手に説明すべき状況について既に全てを知っていると思い込んでいます。
  • 私たちは自分の感情を抑え込んだり、逆に後になって後悔するような方法で感情をぶちまけたりします。
  • 私たちは自分が何者かを無視し、自分の存在・アイデンティティと解決すべき問題が無関係であるかのように行動することがあります。

これらは誰もが犯してしまう良くある間違いなのです。 重要なポイントは自分自身は“物事(解決すべき状況)を理解し、説明する立場にいる”という考え方から、“何が起こっているのかを聞き、より正確に学ぶ必要がある”という考え方にシフトすることです。聞くこと=Listeningは本当に重要なのです。

マインドシフトを行ったうえで、次の5つのポイントをおさえながらタフな会話に取り組んでいきます。

1.タフな会話に入る前に自問自答すべき3つの問いかけに答えましょう。

  • 事実(ファクト)に関するもの
  • 感情に関するもの
  •  存在意義・アイデンティティに関するもの

タフな会話に入る前には、皆さん自身と対話の相手が考えていること、感じていること、でもお互いに言っていないことを理解します。緊迫した議論を開始する前に、あるいは議論の対立を鎮めようとする前に、以下の質問を自分に投げかけてみてください。

  • 事実(ファクト)を整理し、何が起こったかを理解できているか? 自分自身がどのような観点で物事を見ているか、はっきりと認識しているでしょうか?相手に伝えようとしているストーリーに隠れた前提条件はないでしょうか?(自分だけが知っている情報、過去の経験、暗黙のルールなど)反対に相手がどのように物事を見ているのかをどこまで知っているでしょうか?相手はどのような意図を持っていたのでしょうか?今回、話し合おうとする状況は皆さんにどのようなインパクトをもたらしているのでしょうか(ポジティブ?ネガティブ?)。
  • 自分自身の感情の動きを把握できているか?自分の感情を客観的に探り、「私は、この状況に対してどんな感情をもって向き合っているのだろうか?」と自問します。
  • 自分のアイデンティティをはっきりと認識できているか? 直面している状況はどのように皆さんのアイデンティティを脅かしているでしょうか?そして、そもそも皆さんは自分自身のアイデンティティをどのように認識しているのでしょうか?(これから展開しようとするタフな会話において、私は上司としてストーリーを語る、私は競争が好きだ、私は忠実な人間である、私は人々を育てるのが得意な人間だ、等。)皆さんをたらしめる、皆さんの根底にあるものをしっかりと認識できているでしょうか?

2.目的を確認し、一歩踏み出すかどうかを決めます。

行動を起こす前に本当にその問題を提起する必要があるのかを確認してください。何の目的の為に一歩踏み出すのでしょうか?それを判断するには、自分自身に問いかけてみてください。

  • わざわざタフな会話をすることで何を達成したいのか?
  • 自分の主張を通したいのか、相手を変えたいのか?
  • 相手と共に学び、情報を共有し、問題を解決するために自分自身が変わらなくてはならないところがあるでしょうか?
  • その問題を提起せずに、(一時的にでも)放置しておくことは可能でしょうか?

3.“第三者として語る”ことから始めます。

タフな問題に取り組む際には自分自身の見解や話から始めないようにすることが大事です。あえて、あたかも第三者の中立的な立場の人が見ていて、会話をリードしているかのようにアプローチするのです。状況の見方、問題の認識の仕方の違いをストーリーの違いとして説明します。両者の視点を議論の正当な一部として含め、視点の違いから生じる問題の認識の仕方の違いを二人のストーリーの違いとして表現します。最終的には目的を共有し、一緒に状況を解決したいと考えていることを相手に伝えます。

4.相手と皆さんが共有できるストーリーを紡ぎます。

傾聴し、何が起こったと考えているのかについて相手の視点を理解します。議論のポイントや争点の背後にある感情を確認しましょう。相手の言っていることを理解していることを示すために、相手の発言を言い換えてみて確認します。相手と皆さんが、どのような経緯を辿っていまの場所にたどり着いたのかを解明してみてください。

傾聴の姿勢を保ちつつも、自分自身の視点、過去の経験、意図、感情を共有します。そして、事実から認識へ、不平不満から協業へ、非難から共感へと、常に隠れた前提条件を再構築して建設的な方向へと導いていきます。

5.問題を解決します。

双方の最も重要な関心事や利益を満たす選択肢を創り出します。常に一方通行の関係は長続きしないことを念頭に置いてください。今後もコミュニケーションを絶やさないようにするにはどうしたらいいか、話し合ってみましょう。

タフな会話をしなくても良いようにする

タフな会話をしなくてはならない状況はそれ以前に質の高い会話・コミュニケーションが取れていないがために起こるものです。

人が脅威を感じたり、過度に批判されたりすると感じるのを避けるためには、ポジティブで励みになるコミュニケーションとネガティブなフィードバックを含むコミュニケーションの比率がおおよそ4対1の割合であることが必要です。ポジティブなフィードバックやエンパワーメントのための会話を増やすことで、エンゲージメントが強化され、職場での心理的安全性が高まり、相手が脅威と感じる反応が引き起こされるのを防ぐことができます。

組織の全員が理解するために傾聴し、適切な質問をし、挑戦と支援のためのフィードバックを与え、説明責任と具体的なネクストステップを確立することで、より建設的な会話を行うことができます。これは、より良い会話を通じて、より良い組織文化を構築するための重要な要素です。

適切なトレーニングと実践により、あらゆるレベルのリーダーが、会話やフィードバックの質を向上させ、職場全体に波及効果をもたらすことができます。