Leadership Insight

チェンジ・リーダーシップ:変革を成功に導くリーダーは「人とプロセス」に焦点をあてる

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/07/16

変革を成功に導くことは、現代の組織が直面する最大の問題の1つです。急速に変化する世界では、「変化すること」がもはや義務となっているとも言えます。変化を実現し、これまでとは異なる価値、異なる仕事の進め方をしない限り、私たちの会社は成功しないか、持続する可能性は極めて低くなります。

にもかかわらず、チェンジ・マネジメントに関する幾多の調査では、組織の変革イニシアチブが成功するよりも失敗することが多いことが何度も示されています。

私たちは、変革の成功のためには効果的なリーダーシップが不可欠であることを知っていますが、それでは変革を成功に導いたリーダーシップと残念ながら失敗したリーダーシップの違いは具体的には何なのでしょうか?この疑問に答える為に最近、275人の上級管理職に、彼らが主導した変革への取り組みの成功と失敗について振り返るように依頼した調査を実施しました。

私たちの目標は、「変革を成功に導くリーダーシップ」の特徴を明らかにして、その能力を定義し、変革を失敗に陥れる可能性のある間違ったリーダーシップの行動をよりよく理解することでした。

私たちが調査した幹部はすべて、私達が主催するLeadership at the Peakプログラムの参加者であり、15年以上の管理職経験、500人以上のマネジメントの責任、および経営陣のメンバーとしての意思決定権限を持つ人々でした。

チェンジ・リーダーシップの3つのC

私たちはこの調査を通じて、変革の取り組みを成功させ、変革を可能にするリーダーの9つの重要なリーダーシップ能力を明らかにしました。 9つの変革コンピテンシーは、さらに3つの主要なカテゴリに分類できます。これは「変革の3つのC」と呼ばれ、変革のプロセス、および人々を導くのです。

1. COMMUNICATE:コミュニケーション

失敗したリーダーは、変革の背後にある「何を?(What)」に焦点を合わせる傾向がありました。成功したリーダーは、「何をやるのか(What)」そして「なぜ、それをやるのか(Why)」を伝えていました。変革の目的を説明し、それを組織の文化や共有されている価値観に結び付けたり、変革を行うことのメリットを説明したリーダーは、変革に対するより強い賛同(buy-in)と緊急性(sense of urgency)を生み出しました。

2. COLLABORATE:コラボレーション

変革は一人では実行できません。必要な人々を集めて影響力を行使し、変革を計画および実行することが重要です。成功したリーダーは組織の境界を越えて働き、従業員に自分の居心地の良いサイロとタコツボから抜け出すように促し、無意味な組織間の争いや責任の押し付け合いを拒否しました。また、早い段階で意思決定に従業員を巻き込み、変革への取り組みを強化しました。変革に失敗したリーダーは、変革プロセスの早い段階で頻繁に従業員を関与させることをしていませんでした。

3. COMMIT:コミット

成功したリーダーは、自分自身のうちに強い信念があり、そして行動を実践していました。変革には困難が伴いますが、成功したリーダーは信念を元にした復元力があり、粘り強く、自分の慣れ親しんだ習慣から一歩踏み出す意志がありました。失敗したリーダーは、課題にうまく適応できず、否定的な態度を表明し、なかなか結果が出ないことに焦るだけでした。

効果的な変革リーダーになるために

変革とは自然発生するものではありません。最初から最後までプロセスを導くリーダーが必要なのです。プロセスをリードするためには以下のポイントをおさえておくことが重要です。

  • 開始(Initiate) 変革の必要性を理解した後、成功する変革リーダーは、彼らが求める変革とは何なのかを明確にし、訴えかけることから始めます。これには、ビジネスを取り巻く環境変化の冷静な評価、変革の目的の理解、明確なビジョンと変革を通じて無しと得る望ましい結果の明確化、および共通の目標の設定が含まれます。失敗したリーダーは、変革を通じて実現する目標がなんであるのかについて共通の理解を得るための努力が不十分であるケースが大半でした。
  • 略化(Strategize) 成功したリーダーは、優先順位、タイムライン、実行すべきタスク、とるべき具体的な行動、および必要となる経営資源等の多角的要素を統合して変革を前に進める戦略と明確な行動計画を作成しました。彼らは、何が変わるかだけでなく、何が変わらないかをも特定していました。成功しなかったリーダーは、答えるべき重要な問いが何であるのかや、懸念事項を十分に明らかにすることができず、最初から成功を定義することができなかったと話していました。
  • 実行(Execute) 戦略を実行に移すことは、リーダーがやるべき最も重要なことの1つです。私たちの調査では、成功した変革リーダーは、キーパーソンをキーポジションに配置する(または場合によっては排除する)ことに焦点を当てていました。彼らはまた、大規模な変革であっても、その変革過程をいくつものプロセスとステップに分解し、特に変革の初期段階で小さくても良いので成果をだし、変革の勢いが衰えないように細心の注意を払っていました。また、変革の進捗状況を測定するための指標とモニタリングのための仕組みを創り上げていました。失敗した変革リーダーは、マイクロマネジメントを開始し、全体像を忘れてしまっていた傾向がありました。

変革の渦中にある人々をリードする

変革プロセスの公式は広く知られているかもしれませんが、あまりにも多くのリーダーが変革の最も重要な人間的側面を無視しています。最も効果的なリーダーは、多くの人々を関与させることにかなりの努力を注ぎ、どれだけスピードが要求される変革のイニシアチブであっても人々が適応するための時間を軽視することはなく、共通して以下の3つに注意を払っていました。

  • サポートする(Support) 成功した変革プロジェクトは、リーダーが従業員の成功への障壁を取り除くことを特徴としていました。これらには、負傷した自我や喪失感などの個人的な障壁だけでなく、変革計画を実行するために必要な時間やリソースなどの専門的な障壁も含まれます。失敗した変革リーダーは結果のみに焦点を合わせていたため、従業員は変革に必要なサポートを受けられませんでした。
  • 揺り動かす(Sway) 影響力とは、人々をルールに従わせるだけではなく、変革を推進するために必要なコミットメントを人々から獲得することです。重要な利害関係者を特定し、その利害関係者が拍手をしながら自分の意見に賛成している姿はどのようなものかを定義していました。有能な変革リーダーは、自分の職位に関わらず取締役会メンバー、経営幹部、クライアントなどの主要な利害関係者に働きかけて変革のビジョンを彼らに伝え、揺り動かし続けていました。失敗したリーダーは、特定の利害関係者に影響を与えようとするよりも、特定の利害関係者を避けていたのです。
  • ぶ(Learn) 最後に、成功した変革リーダーは、すべての問いに正解があるとは決して思っていませんでした。彼らは答えを探すよりも、たくさんの質問をし、公式および非公式のフィードバックを集めました。インプットとフィードバックにより、変革の途中でも常に軌道修正を行うことができました。失敗したリーダー達は、変革が始まった後は自分の計画や行動について問い直すことをせず、またフィードバックを積極的に求めることもしなかったために、軌道修正が遅れたり、あるいはまったく行われないという事態に陥っていたのです。

ここまで、変革を成功に導いたリーダーに共通した3つの要素を見てきました。しかし、この3つの他にも、変革を成功に導くためには変革につきもののプレッシャー、不確実性、挫折に対処するための復元力(Resilience)が必要です。この復元力、つまりは逆境を跳ね返す力についてはまた別のところで詳細に見たいと思います。