Leadership Insight

“つながり”を見極めろ!:リーダーにとってのネットワークの重要性

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/11/12

人と人との繋がりの重要性、つまりはネットワークを理解し、“ネットワーク視点”を持つことは、21世紀のリーダーシップの必須条件と言われています。しかし、“ネットワーク視点”を持つとはどういうことで、それは組織にどのように役立つのでしょうか?また、リーダーとして、どのようにしてネットワークの視点を構築すればよいのでしょうか?

“ネットワーク視点”を持つことの意味とは?

ネットワーク視点を持つこととは、組織図に表現されているような公式の関係(部下-上司の関係)を超えた、組織内外の人々の複雑なつながりを見通す能力を持つことです。

これは、自分自身のためにも、組織のためにも、最も重要なリーダーシップスキルの一つです。

ネットワークをよく把握できているリーダーは、組織を支える目に見えないインフォーマルな構造を見通して、理解し、そこに関与する能力を意図的に身につけることができます。そしてこのネットワーク視点を用いて、よりつながりのある、相互に依存する文化を組織に生み出します。さらには、組織のネットワークを世界中に広げていく人もいます。

個人レベルでは、ネットワーク視点を持つことで、公式な組織体制(「組織図」)を超えて、インフォーマルなネットワークを使って仕事を進めることができます。この視点は、誰が影響力を持っているのか、どこに行けば情報が得られるのかを知ることを意味します。言い換えると、組織を超えて、他の組織やコミュニティ、社会とのつながりを持ち、それを利用するということです。

広い範囲でいえば、ネットワークは、相互に依存しながらも不安定な世界において自然に存在するものだと言えるでしょう。多くのリーダーや学者は、リーダーシップを理解するためには、自然に存在するネットワークと、戦略的に作られたネットワークの両方を考慮すべきだという結論に達しています。

ネットワーク視点とリーダーシップの関係

私たちは、極めて複雑で変化に富み、相互に結びついた世界に生きているため、組織の非公式なネットワークやつながりを理解して活用する能力は、リーダーにとって不可欠であり、重要なものです。難しい意思決定が迅速かつ頻繁に行われる環境では、リーダーは、階層や伝統的な手法に依存しているだけでは、適切な情報をタイムリーに得たり、物事を実現したりすることはできなくなります。

ネットワークに精通した組織のリーダーが、リーダーシップとはネットワークの一員となり、さらにつながりを形成するプロセスであると捉えることができれば、次のような恩恵を享受することができます。

  • リーダーシップを発揮するための集団的能力の向上。
  • プロジェクト、チーム、組織、コミュニティの将来について、チームメンバーが自律的に調整し、決断できるようにすること。
  • リーダーシップの文化が、上層部からの命令と統制への依存ではなく、アジャイルで相互依存的なネットワーク内での適応へと変化すること。

インフォーマルなネットワークが組織の戦略を強化する

私達の調査によれば、インフォーマルなネットワークは組織の戦略を強化することができるものです。組織のメンバーをつなぐインフォーマルなソーシャルネットワークのパターンとその質は、競争の激しい市場で成功する能力に大きく影響します。最適なコミュニケーションや影響力が備わっていなければ、将来の重要な人材を逃がしたり、戦略の立案や実行に問題が生じたりする可能性があります。

特にシニアリーダーは、組織内のリーダーシップのネットワークに注意を払い、最も重要といえる結びつきを強めるように努めるべきです。経営者としては、高いポテンシャルを持つ中間管理職者を確保し、彼らの貢献をトップマネジメントが適切に評価できるようにしたいはずです。このことは、リスクが高く脆弱な、あるいは効果のない組織戦略を回避するために重要なことです。

なぜリーダーにはネットワーク視点が必要なのか

ネットワーク視点を持つとはどういうことか、そしてそれが個人や組織にとってどのようなメリットをもたらすのかをご理解いただいた上で、なぜリーダーにネットワークの視点が必要なのかをご説明します。

1.つながりが大事

個人は孤立して存在しているわけではありません。人とのつながりは、機会、貴重な情報やリソースへのアクセスを提供するだけでなく、制約も生み出します。人とのつながりは、その人の考えや態度、行動に影響を与えます。

2.仕事はインフォーマルなチャネル、プロセスで行われることも多い

何十年にもわたって組織の再編成を行っていたとしても、仕事というのは、正式な上司・部下の関係や仕事上の関係以外のやり取りで行われることが多いのです。インフォーマルなネットワークを把握しておくことは、形式上の体制がほとんど基準とならないような、フラットでチームベースのアジャイルな仕事環境では特に重要です。

3.リーダーシップはつながりから生まれる

共通の課題に取り組む人とのつながりを通じて、方向性、整合性、コミットメントが生まれます。このようなプロセスはすべての関係者が貢献するため、ネットワーク全体でリーダーシップが共有されるのです。さらに、クロスボーダーでリーダーシップを発揮するためには、グループ間のつながりを正確に把握し、構築するためのネットワーク視点が必要です。

4.成功するリーダーは、強固で多様な人間関係のネットワークを構築する

成功するリーダーは、過小または過剰なつながりがパフォーマンスを阻害し、成果を制限することを理解しています。目的を持った(戦略的な)、本物のネットワーキングこそが、孤立化を防ぐ健全なネットワークを構築する鍵となるのです。このようなリーダーは、階層、地域、職種、利害関係、人口動態的な違いなどの境界を越えて協働し、多様なグループと関係を築いていきます。

5.ネットワークの知識は、変革を成功させるための重要な財産となる

フォーマルで縦割りのチャネルだけに頼っていては、新たな問題に適応する能力を欠いてしまいます。クロスボーダーのネットワークを活性化し、強化することで、変革の取り組みを加速させることができます。このアプローチは、文化的な変革において非常に重要です。なぜなら、組織文化は人々の会話の中に存在するからです。このようなつながりを理解することで、サブカルチャーや潜在的な反発心、変革の隠れた功労者などについての洞察が得られるようになります。

6.イノベーションのためのネットワークを特定し、サポートする

イノベーションには、まず新しい創造的なアイデアが必要です。しかし、新しいアイデアを出すだけでは十分ではなく、イノベーションのプロセスを通じて組織で実行されなければなりません。私たちの調査によると、ネットワークの構造は、創造性を推進する場合と、実行を推進する場合とで異なります。組織には、多様なアイデアの創出と共有、および集団行動をサポートするようなネットワークが必要です。(また、イノベーションを推進する上での自分の役割は、組織図上の役割が関係することを理解しておくとよいでしょう)。

7.現在リーダーが直面している最も重要な課題は、相互に依存している

複雑な課題は、個人だけでは解決できず、クロスボーダーのグループで協力して解決するのがベストです。

つまり、ネットワークの視点を持つことは、あらゆるものがつながっている、あるいはつながっていく世界で成功するための鍵なのです。