Leadership Insight

何をやるか?だけではなく“どうやるか?”でリーダーの価値が決まる

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/06/28

どんなに経験豊富で自信のあるリーダーでも、自分のリーダーシップに関する他人の評価を気にしたことのないリーダーはいないでしょう。

皆さんが主導したここ最近の取組みが同僚からの評価にどのように影響したのか知りたいと思うかもしれませんし、取組み過程の中で起きてしまった些細なミスについて「もしかすると上司から見れば大きなマイナスポイントになってしまうかも」と、ふと心配になることもあるでしょう。直属の部下はどうでしょうか?普段は皆さんについてきてくれる部下たちが皆さんがいないところで、皆さんについてどんな話をしているか、まったく気にしないということは無いでしょう。これらは全て「リーダーシップブランド」に関する問題なのですが、皆さん自身はこれまでどの程度、この「リーダーシップブランド」について考えたことがあるでしょうか?

リーダーシップブランドとは?

職場に限らず、家族や友人のコミュニティの中でさえも、皆さんは他者からの評判を持っています。皆さんの優先順位のつけ方、皆さんの価値観・考え方、皆さんが一貫して提供する価値、そしてそれらをどのように提供するか?これらは皆さんのパーソナルブランドと呼ばれます。

職場におけるリーダーシップブランドとは、職場でリーダーシップを発揮するプロセスにおいてパーソナルブランドがどのように機能するかを示しています。言い換えれば、それは皆さんがリーダーとして結果を生み出すために他の人とどのように関係し、相互に作用するかです。

リーダーシップブランドが重要な理由

皆さんの個人的なリーダーシップブランドは、皆さんがリーダーとして出す成果によっても形作られますが、その成果を皆さんが『どのようにして出したか?』によっても強く影響を受けます。つまり、結果だけではなく、結果を導くプロセスをどうリードしたかによってもブランドが作られるのです。ここを意識できていなければ、皆さんがどんなに結果志向であったとしても「あの人は、結果は出すけど、やり方が強引。結局は自分のことしか考えていないのでは?」といった、皆さんが本来望まないリーダーシップブランドができてしまうことになります。

リーダーシップブランドをどう創り上げていくか?を意識することで、皆さんの最も深い価値観を反映し、皆さんが誰であるかを定義し、リーダーとしての皆さんの期待される価値を評価するのに役立ちます。
さらにリーダーシップブランドを意識して創り上げていくことは以下のような効果をももたらすのです。

  • 適切なリーダーシップブランドを通じて、理想のキャリアに近づくことができます。
    より高いレベルのポジションを目指すために修羅場経験が必要な場合や、より経験豊かなリーダーになるために現在の業務を超えた経験が必要な場合、その修羅場経験や現業を超えた業務経験を得る機会はどのようにしてつかみ取れば良いでしょうか?もちろん個人の努力だけでもチャンスをつかむこともできるかもしれませんが、多くの場合は他者(上司等)によるサポートが必要です。皆さんが“どのようにして結果を出すか”をしっかりと意識し、結果を出す過程で人々から感謝されることを通じて明確なリーダーシップブランドを打ち立てることで、周囲も皆さんに更なる成長機会を提供するようになります。(どんなに成果を挙げていても、周囲から煙たがられるリーダーに機会を与えようとしなくなるのは想像に難くないでしょう)
  • 皆さんのリーダーシップブランドは皆さんの影響力を充実させます。
    皆さんのブランドは、皆さんが出した成果だけでなく、その過程での他者との交流や人間関係によっても形作られます。皆さんが何かをリードするとき、それは「効果的なリーダーシップ」を発揮できていますか?チームワークはどうでしょうか。具体的はリーダーシップの最重要のアウトプットであるDAC(Direction:方向性、Alignment:実行のための経営資源の確保と整備、Commitment:確実に行動を起こすことの確証)を意識し、実行できているでしょうか?皆さんがどのようにしてリーダーシップを発揮するか、つまり成果をどのようにして”出す人なのか?の評判は組織内外に広がっていくことを覚えておきましょう。(皆さんの知らないところでも、誰が良いリーダーなのか?はよく話し合われるトピックです)
  • リーダーシップブランドは、皆さん自身が他のリーダーとどう違うのか?を語ります。
    皆さんが明確なリーダーシップブランドを持っているとき、そのブランドに沿った期待値が設定されます。ややこしいプロジェクトを独自の観点から交通整理したり、意見の不一致をうまく調整したり、さらなるプロジェクトを起こしたりできるかもしれません。周囲の人が皆さんのブランドについて考えるとき、「この人に何ができるのか?」はすぐに頭に浮かぶはずです。その結果、皆さんは期待に応えるために既に持っている力を発揮できる役割が与えられ、皆さんが好きなタイプの仕事をする機会がますます与えられることになるのです。
  • ぼやけたリーダーシップブランド、自分が望まないリーダーシップブランドは皆さんを力が発揮できない環境にとどめ成長の足枷となります。
    自分自身ではっきりとリーダーシップブランドを意識し、作っていればきっと他人は分かってくれると思ってしまうかもしれません。しかし、現実はそんなに甘くはないのです。皆さんが磨いたリーダーシップブランドを他者に伝える努力を怠ってはいけません。国民性によっては「自分自身の宣伝をすること」に躊躇してしまうこともあるかもしれませんし、組織によっては「控えめな・静かなリーダーシップ」が重んじられることもあるかもしれません。しかし、グローバル化、多様性の時代では自分自身のブランドを宣伝することは決してマイナスではなく、むしろ誠実なリーダーとして捉えられることの効果もあります。自分自身のリーダーシップブランド、そして価値、貢献を上司、主要な利害関係者、さらには同僚に見えるようにし、キャリアの機会を逃さないように十分に注意しましょう。
  • 皆さんのリーダーシップブランドを適切にコントロールすることは、皆さんが真のリーダーであるための強力な武器になります。
    皆さんがリーダーシップブランドを明確に打ち立てることによって、そのブランドを体現するための具体的な行動が明確になります。リーダーとして何をすべきか、何をすべきでないかが明確になるのです。組織の中に長くいると、ときには自分のリーダーシップブランドにそぐわないアクションを取らざるを得ない時もあるかもしれません。しかし、それは皆さん自身の真価の発揮を妨げることに繋がります。自分はどのようなリーダーであり、自分のブランドとそのブランド価値に沿った行動が組織内で評価されないことが続く場合、新たな場所を探すことを考えたほうが良いかもしれません。

自分自身のリーダーシップブランドを強化する6つのステップ

リーダーシップブランドが重要であることをご理解いただけたかと思いますが、それが他者からどう映っているか、またどのようにしてブランドを強化していくかについて考えたいと思います。次の6つのステップは、リーダーシップブランドについての自己認識を高め、必要な能力を定義し、ブランドを強化するのに役立ちます。

1. LIST what you love about work:好きなこと・嫌いなことリストの作成しましょう。
自分がしている仕事について好きなことをすべてリストアップし、さらに嫌いなこと・やりたくないことすべてについて別のリストを作成します。この2つのリストによって皆さんがとるべき行動ととるべきではない行動が明確になり、意思決定が楽になります。
もしかすると、時間が経過するにつれてリストの更新をする必要があるかもしれませんが、自分自身のリーダーシップブランドについての自己認識と再確認はリーダーである限り、絶え間なく続きます。

2. AUDIT your online presence:ヴァーチャルの場でもブランドマネジメントを意識しましょう。
ソーシャルメディアなどバーチャルの場でも自分自身がどのようにみられてるのかを確認しましょう。いまやSNSをはじめ、オンラインでも皆さんのリーダーシップブランドが他者から見られる場所が多数あり、このようなバーチャルの場でも自分自身のリーダーシップブランドがきちんと伝えられるかどうかは重要なポイントになっています。バーチャルでもブランディングに成功している人々の例を探して、良い点は取り入れてみましょう。

3. CHOOSE an accountability partner:ブランディングパートナーを持ちましょう。
皆さんのリーダーシップブランドについて率直に意見をくれる“ブランドパートナー”を持ちましょう。上司、友人、大切な人、同僚など、他の人からのフィードバックを取り入れてリーダーシップブランドを管理することはリーダーとしての重要なスキルの一つです。自分自身がリーダーシップブランドについて、それが自分の理想とするリーダーシップブランドと一致しているかどうか、ブランディングパートナーから意見をもらいましょう。もし一致していないなら、どのように改善できるかについてオープンに話し合ってみましょう。

4. CREATE a tagline for your brand:ブランドを要約するタグラインを作ってみましょう。
皆さんのリーダーシップブランドを構成する要素は複数あると思いますが、それらを束ねて「要するに自分のリーダーシップブランドとは?」と考えたときにはどのような表現になるでしょうか?皆さんのブランドが分かりやすく伝わるためのブランドのタグラインを考えてみましょう。またできればそのブランドとタグラインを表すビジュアルも探しておくことをお勧めします。(ビジュアルによって皆さんのブランドが視覚的にわかりやすくなるからです)ブランディングパートナーをはじめ他の人からのフィードバックを収集し、必要に応じてタグラインを調整していきます。タグラインと記号を周囲の人やSNSで共有してみるのも良いでしょう。

5. DESIGN an action plan:アクションプランを立てます。
いまのリーダーシップブランドの状態とありたいリーダーシップブランドのギャップを確認したら、ありたい姿に近づくための行動計画を立て、新たに必要となるコンピテンシー、必要となる周囲からのサポートを明らかにし、進捗状況を評価していきます。
しかし、意欲的なブランド構築の計画を行動に移しても、なかなか皆さんの思い通りのブランドができないかもしれません。それが普通なのです。ブランドは他者による評価であり、他者からの評価は一昼夜で変わるものではありません。焦らずに、そして確実に行動を続けていきましょう。

6. ASK yourself questions:自問自答する
皆さんが真に大切にしているものは何ですか?それを日々、本当に大事にできていますか?皆さんの価値観にそぐわない行動を取らざるを得ない状況は多くはないでしょうか?自分自身のリーダーシップブランドが「ありたい自分自身」と一致していますか?自分が望むリーダーシップブランドを磨くためにできることはすべてやっていますか?これらを定期的に自問自答して見る事で、正しい方向に進んでいるかどうかを冷静に判断することができます。(自分の価値観を特定し、それに沿った目標を設定する方法はゴール設定の基本をご覧ください。)

内省を行い、行動計画を立てるときは、時間をかけて、自己認識、短期学習力、影響力、コミュニケーションからなる4つのリーダーシップコアスキルを強化する方法を振り返ってください。4つのコアスキルは長年のリサーチに基づき、「効果的なリーダーが必ず発揮できなければならない核となる要素」であり、これらを強化することでリーダーシップブランドの強化にも繋げていけるのです。

皆さんのリーダーシップブランドが有効かどうかを知る方法

リーダーシップブランドの構築や目覚ましい強化は一夜にして起きることはありませんが、常に自分自身のリーダーシップブランドを意識し続けることで、普段の生活の中にも努力が報われている兆候が見られるようになります。

皆さんが最も楽しく取組めているように見えるチャレンジをさらに引き受けるように求められていることが起きるかもしれません。同僚の方が、“皆さんならではの”リーダーシップブランドと、そのブランドにふさわしい皆さんの行動を高く評価していることに気付くかもしれません。

これらはすべて進歩の兆候であり、皆さんの上司や組織内の他のリーダーも皆さんのリーダーシップブランドに注目している可能性があります。定期的に進捗状況を再評価し、さらに努力すると、個人のリーダーシップブランドは進化し、そのリターンを得始めることになるのです。