Leadership Insight

リーダーシップ開発の効果を左右する7つの要因

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/10/26

リーダーシップ開発の取り組みからどのような効果を期待しているかを尋ねられるとたいていの場合、可視化できる効果、つまり測定可能な効果を組織にもたらすことだという回答が返ってきます。

リーダーシップ開発に投資し、そこから最大限のリターンを得るためには、リーダーシップ開発プログラムの効果を左右する要因が数多くあることを知っておいたほうがよいでしょう。今回は、数ある要因の中でも成功を確実にするための7つのキーポイントをご紹介します。

リーダーシップ開発を成功させるためのヒント

1.事業部・ビジネスユニットのトップを巻き込む

ここで大事なのは“アラインメント”の概念です。事業部やビジネスユニットのリーダーは、言うまでもなくビジネスの責任者であり、リーダーシップ開発プログラム参加者の直接の上司という立場でもあるため、彼らがリーダーシップ開発プログラムに何を期待し、どう考えているのかは、参加者が開発プログラム中に抱く考え方や、プログラム終了後に参加者が戻る環境に直接影響を与えます。参加者が職場に戻ったときに、「プログラムで聞いた話なんて関係ないわ、現実は全然違うんだから」と言われてしまうようなら、その後の行動の変化はほとんど期待できないでしょう。

2.参加者がプログラムに参加する理由を明確にする

リーダーシップ開発プログラムを実施する際、参加者に「なぜこのプログラムに参加しているのですか」と尋ねることがよくあります。そうすると、参加者の3分の1程度の人が、「人事部や上司に言われたから」と答えるのです。そのような答えを聞くと、自分の仕事の意義をすっかり削がれてしまったような気になります。なぜなら、参加者が参加する目的を見いだせなければ、彼らは体だけはプログラムに参加しているけれども、心ここにあらずの状態で日程をこなすことになるからです。

そのためCCL:Centet for Creative Leadershipのプログラムでは、参加者がプログラムに参加する前に、プログラム中にフォーカスすべきこと、上司の期待する成果、プログラム後に上司が参加者にどのようなサポートを与えるか等について、参加者と直属の上司とで話し合い、双方で合意してからプログラムに臨むことを推奨しています。上司が部下をサポートするためにできる重要なポイントについては、別途詳しく紹介します。

3.リーダーシップ開発の専門機関と提携する

リーダーシップ開発を専門とする機関は、皆さんの組織の環境、文化、リーダーシップ戦略を理解するために多くの時間を費やすものです。そうすることで、参加者に影響力のある学習体験が提供できるようになるからです。以前、あるプログラムを実施したところ、プログラム終了時の評価スコアが低かったのですが、その後、クライアントに話を聞いてみると、社内で大規模な組織再編が発表されたばかりで、全員が職を失うことを心配していたことがわかりました。この背景を知っていれば、ワークショップの中で参加者が変化を乗り越える手助けをすることができたかもしれません。

クライアントである皆さんには、リーダーシップ開発の専門機関をその道のプロとして信頼していただきたいです。専門機関は入念な調査によって皆さんの組織の情報を得て、その組織独自の状況と文化を理解しようとしています。そしてその情報をもとに、皆さんのリーダーのニーズに応じてプログラムを開発することができる状態になっていれば、皆さんは専門機関と効果的なパートナーシップが組めるはずです。

4.リーダーシップ開発の取り組みに優先順位をつける

組織がリーダーシップ開発に投資する理由はさまざまです。共通のテーマとしては、新任/若手のリーダーが正しいスタートを切れるように準備を整える、高いポテンシャルを持つリーダーが次のレベルの仕事に就けるようにする、急速な事業拡大や文化的な変化など、組織の特定の課題に対処する、などが挙げられます。ですが多くの場合、様々な制約条件との兼ね合いがあるため、全てのニーズを満たすことはできません。そのため、事業部・ビジネスユニットのリーダーと協力して、何が最も重要で、どのような取り組みをサポートできるかを判断することが重要になります。

5.シニアレベルのリーダーだけに焦点を当てない

予算や時間の制約上、計画に優先順位をつける必要があるかもしれませんが、だからといって、他のレベルのリーダーの開発ニーズを無視することはできません。社内のリーダーシップ開発を率いる上で重要なのは、すべてのリーダーにコスト効率の高い開発を提供することです。これを実現するためには創造性とイノベーションが必要といえるでしょう。

大勢の対象者へのリーダーシップ開発のプログラムを企画・推進する方法はいくつかあります。例えば次のことを検討してみてはいかがでしょうか。

シニアリーダーや人事部のファシリテーターが、外部のコンサルタントや講師、ファシリテーターに代わってプログラムのトレーナーの役割を担うことはできるでしょうか?対面でのトレーニングとオンライントレーニングをミックスしてのハイブリッド形式での実施、オンラインのみでのリーダーシップ開発ツールは利用可能でしょうか?外部の専門機関のリーダーシップ開発の教材のライセンスを取得して、社内のトレーナーと一緒にプログラムを実施することはできますか?

これらの内容を追及していけば、すでに持っているリソースを活用することができるかもしれません。また、信頼できる専門機関と提携して、リーダーシップ開発ツールやトレーニング教材を入手し、社内の育成プログラムをサポートすることもできます。

6.プログラムの枠を超えて考える

リーダーシップ開発の取り組みは、いわゆる研修、トレーニングプログラム部分の短い実施期間をはるかに超えたものである必要があります。つまり、プログラムは1回限りのイベントではなく、6ヶ月から12ヶ月の長い行程になることが多いのです。学びを定着させるために、準備、エンゲージメント、実践という3つの段階すべてを計画するようにしましょう。

  • 準備(Preparation)
    準備段階では、プログラムが始まる前に、参加者が事前に目を通す資料や事前評価、さらには重点分野を決定するための上司との会話などを含め、すべての必要な準備を行います。
  • エンゲージメント(Engagement)
    これにはトレーニングプログラムの最中に学習することも含まれます。参加者が学習に集中し、「日々の仕事」から離れられるようにするにはどうすればよいか、よく検討しましょう。
  • 実践(Application)
    学んだことをプログラム後も継続させるにはどうすればよいでしょうか?これには、参加者の上司へのフォローアップ、アカウンタビリティ・パートナーをつくること、実践的な活動の推進、プログラム中に設定した目標の確認などが含まれます。

最終的には、リーダーシップ開発プログラムの効果は、プログラムが終了した後もずっと続くものでなければなりません。プログラムの後に起こることは、プログラム中に起こることと同じくらい重要であることを忘れないでください。

7.プログラムの効果をビジネスリーダーに通じる言葉で共有する

CCLでよく話題に上るのは、頭、心、手を使った影響力についてです。利害関係者(STAKEHOLDER)に対しては、彼らにとって重要な言葉を使って話すようにしましょう。

  • 彼らが数字に詳しい場合は、プログラムの途中で効果を測定し、投資対効果(ROI)について説明できるようにしておきましょう。また、プログラム終了時とその後の数ヶ月間に評価データを収集して共有することで、利害関係者がプログラムの効果や、プログラムからどのような学びを得られたか、学習したことがどのように仕事に活かされたかを理解することができます。
  • リーダーシップの心理面を重視する利害関係者がいるのであれば、参加者の実際のサクセスストーリーを必ず記録しておきましょう。仲間や従業員とのコミュニケーションが良くなった、あるいは「脱線」しているように見えたリーダーが事業を好転させた、もしくは従業員のエンゲージメント・スコアが向上した、などのストーリーがあると良いでしょう。
  • 積極的に物事に関わることを楽しむような利害関係者がいるのであれば、彼らからプログラムへの支持とコミットメントを得られるように工夫してみましょう。例えば、彼らにプログラムへの参加を呼びかけてもらう、アクション・ラーニング・プロジェクトを評価するパネルに参加してもらう、あるいは参加者が別の工場やオフィス、施設を見学するための金銭的支援を促す、自身のリーダーシップ開発の歴史を共有してもらうなど、さまざまなやり方が考えられるはずです。

 

リーダーシップ開発の世界では、その効果を証明することができれば、非常に重要な形で組織に影響を与えることができます。リーダーシップ開発の取り組みで何を達成しようとしているのか、目的を明確にしてから始めましょう。そして、特に上記7つの要素に重点を置いてください。これらの要素は、組織のリーダーシップ開発プログラムの成功のチャンスと効果を高めるはずです。