Leadership Insight

新任マネージャーが克服すべき12の課題

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/10/29

マネージャーはつらいよ

与えられた仕事をうまくこなす一般社員から、自分自身の仕事に加えて他の人をリードしなければならないリーダーへと移行するのは大変なことです。多くの新人マネージャーが、自分が経験していることを誰も理解してくれないと感じ、苦労しているようです。

マネージャーが感じているそれらの苦労はいくつかの数字で語られています。

  • 部下から見ると、新任マネージャーの20%が仕事がうまくいっていないように見える
  • 新任マネージャーの26%が、そもそも人をリードするための準備ができていなかったと感じている
  • 約60%の新任マネージャーが、最初にリーダーの役割についたときトレーニングを受けなかったと答えている

これでは、組織のマネージャーの50%が「機能していない」と評価されるのも当然です。

新任マネージャーの最もよくある課題を理解し、彼らが新しいリーダーシップの役割における課題を克服できるようにするため、私達CCLのMLP(Maximizing Your Leadership Potential – リーダーシップのポテンシャルを最大限に引き出す)プログラムを受講した約300人の新任リーダーの課題を分析しましたのでご紹介します。

新任マネージャーが直面する12の課題

私たちの調査によると、以下の12の課題はマネジメントにまつわる最も一般的な課題であり、特に人をリードすることに慣れていない人が経験することが多いようです。

1.人を管理することへの慣れと権限の示し方

初めてマネージャーになる人は、それまでの同僚関係から上司というポジションになることへの移行が難しく、しかも人間関係を良好に保ち、尊敬を集めることに苦労します。新たに必要となるスキルとしては、他人に影響を与えること、管理すること、直属ではない社員とも調整して仕事を進めることなどが挙げられます。

2.マネージャーとしての能力と個人的な能力の向上

初めてマネージャーになる人は、生産性の高い社員であり続けながら、リーダーとしての資質も身につけなければなりません。新たに必要となるスキルとしては、時間管理、ストレス管理、人間関係管理、業界特有の専門知識などがあります。

3.チームの成果を導く

マネージャーになる人は、リーダーシップを発揮して、明確な期待値を示し、指示を与え、チームを指導しなければなりません。新たに必要となるスキルとしては、チームメンバーに指示を与え、チームの作業をモニタリングして組織化すること、期限を守る能力、チームを構築してリードする能力、チーム内の人間関係を維持・強化する能力などがあります。

4.社内のステークホルダー(利害関係者)と社内政治のマネジメント

初めてマネージャーになる人は、部下や部署を代表して発言するなど、上層部に対して自分の意見を主張する術を学ぶ必要があります。また、上層部の目に留まること、会社の構造や文化、政治を理解すること、自分やチームのために組織変更を行うことなどが新たなスキルとして必要になります。社内政治を上手にマネージするスキルを持たない人は、マネージャーとして苦労することになるかもしれません。

5.従業員のモチベーションの向上

初めてマネージャーになる人は、直属の部下はもちろん、一緒に仕事をする場合は非直属の部下であっても、その部下のモチベーションを高めることができなければなりません。新しいスキルとしては、与えられた仕事をやり遂げるように部下を奮い立たせる能力、期待以上の成果を出すように励ます能力、相手のモチベーションを理解する能力、金銭的なインセンティブがなくてもモチベーションを高めることができる能力などがあります。

6.パフォーマンスとアカウンタビリティ(説明責任)の管理

初めてマネージャーになった人は、パフォーマンスの悪い部下にフィードバックを与える時の気まずさを克服しなければなりません。また、部下の行動に責任を持たせることや、能力や知識、経験が不足している社員に効果的に対処することなどが新たなスキルとして必要になります。

7.他者へのコーチング、育成、メンタリング

初めてマネージャーになった人は、今や部下の知識、スキル、能力を開発する立場にあります。新しく必要になるスキルとしては、チームメンバーのキャリア開発に関するメンタリングやコーチングが挙げられます。ほとんどの新任マネージャーにとって、従業員の育成は初めての経験でしょう。

8.コミュニケーション

初めてマネージャーになった人は、チームメンバー、上司、他部署の同僚など、組織内のあらゆるレベルの人とコミュニケーションを取らなければなりません。そのため、コミュニケーションのラインをオープンにしておくこと、最良の結果を得るためのコミュニケーション方法を学ぶこと、部下や上司と目標や期待を効果的に伝えることなどが新たに必要なスキルとして挙げられます。コミュニケーションは、リーダーにとって最も重要なスキルの一つです。

9.権限委譲とマイクロマネジメントのバランス

初めてマネージャーになる人は、自分でできる仕事と部下に任せられる仕事のバランスを見極める能力が必要です。新たに必要になるスキルとしては、マイクロマネジメントをしたり人の仕事を奪ったりすることなく、チームメンバーに干渉したり支援したりするタイミングを見極めること、部下の自律性の強化、そして新任マネージャーが最終的に責任を負うことになる仕事の遂行をチームの他の人に任せることなどがあります。

10.対立のマネジメント

初めてマネージャーになる人は、グループのメンバー間の対立を積極的に、また迅速に解決しなければなりません。ここで必要となる新たなスキルとしては、些細な事が大きな問題に発展する前に特定して対処すること、対立が発生した場合はそれを緩和すること、チームメンバーからの反発や抵抗に対処することなどが挙げられます。

11.さまざまな従業員との協働

初めてマネージャーになった人は、意見や性格、スキルや能力が異なる社員と効果的に仕事をし、リードすることができなければなりません。新しいスキルとしては、人それぞれの働き方に応じて行動をとる能力や、広い心で多文化チームを率いることなどが挙げられます。

12.生産性の向上

初めてマネージャーになった人は、予算やスタッフの問題など、必要なリソースが不足している中で、増えた仕事量を管理しなければなりません。このような制限にもかかわらず、効果的に仕事を遂行する能力が新たに求められます。

 

このような課題があるために、新任マネージャーは、自らが仕事をする一般社員から、仕事をする他人のリーダーへと移行する際に、必要なアイデンティティの変化に悩むことが多いようです。これを克服するのは大変なことですが、上司が新任マネージャーが直面するこのような課題を理解し、単なる上司ではなくリーダーを育成することができれば、新任マネージャーが成功するために必要なサポートを提供することができるようになるでしょう。

初めてリーダーになる人には、業界や組織に応じた仕事のスキルなどの「社員としての領域」と、リーダーシップや人間関係のスキルなどの「リーダーとしての領域」の両方で効果を発揮できるようなサポートが必要になります。