Leadership Insight

研修転移・学習転移の実現:学習を転移し、リーダーシップ開発の効果を最大限に引き出す

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/10/22

皆さんの会社や組織では、「学習転移(Learning Transfer)」ないしは「研修転移」に取り組んでいますか?学習転移とは、リーダーシップ研修や開発プログラムで得られた教訓を「定着」させることですが、学習内容を数週間後、数ヶ月後、数年後にも参加者の心に残るようにするにはどのようにすればよいか頭を悩ませている方もいらっしゃることでしょう。

学んだことを確実に活かすための特効薬はありませんが学習の転移を促進するためのリーダーシッププログラム、経験、サポートメカニズムを構築するためのステップは存在するのです。

新たに学んだスキルや視点、行動は時間の経過に伴い強化され、やがて無意識のうちにそれらを使いこなせるようになるのです。

学習と能力開発を専門とする皆さんは、組織における学習の課題を特定し対処する立場にあるかもしれません。また、リーダーシップ開発の取り組みにおいて、上司や幹部、さらには参加対象者に影響を与える立場にあると思われます。

また、学習環境の構築やサポートを行う役割を担うこともあるでしょう。学習の転移について理解を深めれば、開発から得られる効果を増やしたり、より効果的なリーダーを育成したり、組織の学習・適応能力を強化したりなど、組織は数多くのメリットを得られるようになります。

学習転移における課題とは

学習内容を応用・統合し、必要なリーダーシップ能力を身につけるためには、それが個人でも組織でも、以下のような課題に直面するものです。

  • トレーニングは学習の一側面に過ぎないということ
  • リーダーシップやその開発は、常に周りの人や環境に左右されること
  • リーダーがすでに責任過多の状態にあること
  • 学習することが最も重要なことと一致するとは限らない
  • 学習の文化と業務運用の文化が相対すること

しかし、このような状況においても、リーダーと組織が転移学習に関する課題を克服し、リーダーシップ開発への投資から大きな利益を得られるようにすることは可能なのです。

学習転移を促進するためには

そもそも学習はプロセスであり、単なるプログラムではないと考えたほうがよいでしょう。リーダーシップ開発には、フォーマルなトレーニングや教室でのトレーニングもありますが、それは学習全体を構成するパズルの1ピースに過ぎず、それに対応するピースは仕事の現場の中に存在するはずです。

学習内容を職場でも応用し、職場を学習と結びつけることの価値は、これまでの研究によって明らかにされています。組織の管理職の多くが、リーダーとしての自分を形成し、重要なスキル、行動、考え方を学んだのは職場での経験からだと述べています。実際、調査によれば、上級管理職が成長の糧となったとして挙げた経験の内訳をみると、仕事上の課題が70%、周りの人が20%、そしてフォーマルな研修やトレーニングが10%でした。CCLでは、この「70-20-10の法則」を、学習体験を作り出すため公式ではなく、あくまでガイドラインと捉えています。但し、これら3つのカテゴリーのすべてから学びを発生させることで得られる経験は、学習の転移を向上し、成長を加速させられることも分かっています。

また、学習の転移は社会的なプロセスでもあるのです。つまり、学習のみによって素晴らしいパフォーマンスが生まれるのではありません。ロールモデル、メンター、ピア、コーチ、上司からのサポートなどを含めた職場の環境こそが、学んだことをリーダーとしての行動に変える力に大きく作用するのです。

CCLでは、大人の学習者に対する理解と経験をもとに、学習を定着させるためのホワイトペーパーを作成し、学習の転移のための3×3×3モデルを開発しました。このフレームワークは、弊社が実施しているリーダーシップ開発に反映されており、皆さんの組織内の開発プログラムやイニシアチブにも応用していただくことが可能です。

リーダーシップ学習のための3×3×3モデル

CCLにおけるリーダーシップの学習を定着させるための伝達学習における3×3×3モデルとは以下のことをいいます。

3つのフェーズで考える

学習は一度きりではなく、以下の段階を経て時間をかけて行われるものです。

  • 準備フェーズ
  • エンゲージメントフェーズ
  • 応用フェーズ

3つの戦略を使う

少なくとも3つのアプローチによって学習を深め、強化する機会を得るようにしましょう。

  • リーダーシップの重要な課題
  • クラス内のアカウンタビリティ・パートナー
  • 現場でのラーニング・パートナー

3人のパートナーを巻き込む

それぞれが責任を持って学習を行い、受動的な活動にならないようにする必要があります。

  • 学習者または参加者
  • 組織
  • トレーニングの提供者

この3×3×3の学習転移モデルは、組織の変革やリーダーシップ開発を大規模かつ深く個別に掘り下げる必要がある組織にとって有益でしょう。

学習を転移するためには3つのフェーズで考える

プログラムやその開発にかかる正式な期間の前後で行われることは、プログラム自体の内容や提供する方法と等しく重要です。そのプログラムの期間に関わらず、それが対面式でもバーチャルでも、あるいは継続的なものでも一回限りのものでも重要さに変わりはありません。CCLでは、個人や組織がリーダーシップ開発から最大限の効果を得られるようにするために、「準備」「エンゲージメント」「応用」の3つのフェーズを考慮しています。

準備フェーズ

誰かががリーダーシッププログラムに指名されたり、参加しようと思った時から、開発のプロセスは始まります。

  • 参加者がすぐに学習を始められるようにするにはどうしたらよいでしょうか。
  • 自分のリーダーシップの経験、課題、ニーズについて考えてもらうにはどうしたらいいでしょうか。
  • どうすればそれらを開発体験の目的、内容、価値に結びつけることができるのでしょうか。

このフェーズでは、上司からのサポートが不可欠です。準備フェーズとは、学習の進め方や期待される項目について十分なコミュニケーションを図るだけでなく、学習体験を自分のものにするための感情的なつながりを構築する時期でもあるのです。また、学習プロセスを学習者の「To Doリスト」のひとつとするのではなく、学習者自身の関心を引き、興味を持ってもらうチャンスともなる時期です。調査によると、参加者が上司やメンター、コーチと計画を立て、必要なサポートについて話し合い、そのプログラムが自分にどのようなメリットをもたらすかを理解できたときに、初めて参加者の開発体験が始まるといわれています。

CCLでは、リーダーシッププログラムやカスタマイズされたリーダーシップ開発において、参加者が学習体験をするための準備として、主要な利害関係者へのインタビューのガイドラインを提供したり、コースの学習内容を応用するための課題を選択したり、学習者やその同僚に自身のリーダーシップスキルやスタイルについての評価を行ってもらったりします。それ以外にも、リーディング課題、過去の参加者による体験談のビデオ、教員によるウェルカムビデオやウェビナーなども用意しています。

エンゲージメント・フェーズ

学習体験の内容も重要ですが、その見せ方も重要です。スピーカーの話を聞いたり、資料を読んだりするのはあくまで受け身の学習プロセスです。応用練習を通して参加者が関連性を見出し、自発的に取り組む、つまりエンゲージメントを行うようなプロセスと比べると、受け身の学習は定着しにくいものです。プログラム全体を通して、実践やスキルアップの機会をどのように作ることができるでしょうか。

CCLでは、対面式のライブプログラムでも、バーチャルプログラムでも、学習者が常にエンゲージメントできるよう、さまざまな方法で学習体験を提供しています。スキルアップ、アクションラーニング、振り返り、シミュレーション、体験型アクティビティ、目標設定、コーチングなど、さまざまなアクティビティを組み合わせています。

応用フェーズ

学習の転移には、学習環境から離れた職場で、時間をかけて強化とサポートを行うことが不可欠です。参加者が新しい学習を職場やそれ以外の場所で使用し、継続する機会をどのように作ればよいでしょうか?多くの場合、行動の変化をもたらすために、新しい概念を適用したり、新しいスキルを実践したりする場が必要です。新しいスキルを初めて使うときに見られるぎこちなさを克服できるようなサポートや奨励が不可欠なのです。

CCLでは、実際の仕事上の課題に関連したアクションラーニングプロジェクト、新しい学習を既存のビジネス課題に結びつけるための会話、読書、ディスカッション、ツールキット、ジョブエイドによるフォローアップレッスン、目標の達成に焦点を当てたバーチャルエグゼクティブコーチングなどのツールを活用しています。