Leadership Insight

DEI(ダイバーシティ、公平性、インクルージョン)を“REAL”にする5つの方法

LEADERSHIP INSIGHT / CCL | 2021/12/24

ダイバーシティについて考え、話し合うための新たな方法がますます必要とされています。その必要性に応えるためにリーダーが職場での公平性とインクルージョンを実現するための新しいスキルを持つことが求められています。そして組織では、ダイバーシティとインクルージョンの取り組みが、ありがちな間違いに陥ることなく、しっかりと持続可能なものになるような、広く適用できるような方法を必要としています。

CCLでは、独自に開発したREALフレームワークを用いて、企業やコミュニティ、学校が、それぞれの組織や状況に応じて、職場におけるDEI(ダイバーシティ、公平性、インクルージョン)のダイナミクスを理解し、DEIの取り組みを望ましい形で進展させるための具体的なアクションを特定することを支援しています。

ダイバーシティ、公平性、インクルージョンを実現する(REALにする)4つのステップ

CCLでは、REALフレームワークを用いてリーダーシップソリューションを構築し、個人、チーム、組織において、より公平で包括的なリーダーシップに向けて、考え方、行動、実務の変革を支援しています。具体的には、REALフレームワークは4つのステップで構成されています。

  1. 関連する機会を明らかにする
  2. 公平性を育む
  3. ダイバーシティを活性化する
  4. インクルージョンを実践してリードする

1.関連する機会を明らかにする

最初のステップは「発見」することです。これは、アジェンダを設定したり、他の組織で効果があったと思われるダイバーシティの取り組みを再現することではありません。そのためには、グループ内やグループ同士の多様性の種類や、個人、チーム、組織全体の多様性、公平性、インクルージョンがどのような状況下で機能しているかを認識することが必要です。

職場やその他の組織におけるDEIに関する取組の方向性を定め、整合性を図り、コミットメントを生み出すために、トップリーダーは最初のステップを踏まなくてはなりません。具体的には、個人および集団のものの見方やアイデンティティ、価値観、文化を明確にすること、権力や特権が自分や他の人の行動・効果にどのように影響するかを検討すること、DEIのダイナミクスが市場やビジネス戦略にどのように影響するかを評価することなどです。

シニアリーダーは、自分の置かれている状況を見直すことで、組織内の他のメンバーを巻き込んで、最も関連性の高い変革の機会を特定することができ、また望ましい結果をもたらすことができる戦略的なアクションをいくつか選択することができます。

2.公平性を育む

職場や他の組織でダイバーシティへの取り組みを議論する際、専門家の多くはダイバーシティ、公平性、インクルージョン(Diversity, Equity, Inclusion)の頭文字をとってDEIと呼んでいます。CCLで一般的に流通しているこの用語を理解していますが、あえてEDIと呼ぶことにしています。理由は、ダイバーシティとインクルージョンよりも公平性を重視するためです。私たちはこの言葉を使い分けていますが、ダイバーシティとインクルージョンは、それらを推進すること自体は賞賛に値するとしても、公平性がなければ、持続可能にはできないというのが私たちの信念です。公平性とは、すべての人が可能性を最大限に発揮できるように、公平な機会が与えられていることです。

DEIを推進するためには、まずシニアリーダーが社会の不公平さを認め、組織は意図せずして公平な競争の場を提供できていないことを認識する必要があります。

私たちは職場に入れば、不均等に存在する優位性、機会、特権、権力などにさらされながらキャリアを積んでいくことになります。そのため、「公平な機会」と言っても、それは誰にとっても同じものではありません。組織のリーダーが、不公平さに対抗するという動機を表明するとともに、障壁があることを認めた上で、公平性の向上に向けた明確な目標を設定し行動を起こすことは、組織のダイバーシティやインクルージョンの取り組みの基盤となるコミットメントとなります。

3.ダイバーシティを活性化する

ダイバーシティとは、個人や組織の特性、価値観、信念、経験、背景、行動などにおける共通点や類似点の集合体を指します。

ダイバーシティの活性化とは、従業員や顧客同士の違いを認識し、それに関わっていくプロセスのことです。ダイバーシティを活性化することで、マネージャーやチームは、ダイバーシティがものの見方や前提条件、行動にどのような影響をもたらすかを探り、全員の貢献度を高める方法を見出すことができます。

さらに、期待値や評価基準を定め、明確な目標を設定することにもつながります。

4.インクルージョンを実践してリードする

インクルージョンには、すべての従業員、お客様、戦略的パートナーからの十分な参加を促し、帰属意識を高めるために、積極的、意図的、継続的な取り組みが必要です。それにはポリシーや実務も含まれますが、新しいリーダーのあり方を構想し、実行する能力が必要です。

リーダーはそのレベルや部門を問わず、今何が求められているのかを学び、様々なグループや異なる役割に応じてインクルーシブなリーダーシップとは何かを解釈していく必要があります。また、偏見があればそれを特定して緩和しする、違いを尊重する、共感できる関係を築く、アラインシップ(仲間意識)を育む、対立を管理する、他者のベストを引き出す、などの能力を向上させるためには、それに見合ったツール、リソース、サポートが必要です。

職場における公平性、ダイバーシティ、インクルージョンについてREALに行動するための5つの効果的な方法

職場の文化により良い変化を持続的にもたらすには、EDIに対する意図的なアプローチが必要です。ここでは、より高い公平性、ダイバーシティとインクルージョンを構築するために必要なマインドセット、スキルセット、ツールをリーダーシップと文化に浸透させるために、当社のクライアントがとっている5つの有効な方法をご紹介します。

1.会話を変える。

意義のある会話ができないと、多様性の垣根を超えた非生産的な関係を生み出す恐れがあります。背景や考え方が大きく異なる人や、役割やリーダーシップスタイルが異なる人と仕事をするには、あらゆる組織レベルで効果的な会話ができることが必要です。

縦割り組織やコミュニケーションの壁を取り払うために、EDIに関する直接の会話を促進しましょう。例えば、「Better Conversations Every Day™(毎日より良い会話をしよう)」プログラムでは、組織内のあらゆるレベルや役割のリーダーに、理解を得るための聞き方や、コーチング的な会話の仕方を教えています。

結局のところ、より良い文化はより良い会話から始まります。組織の日常的な会話の質を向上させることで、よりオープンで、違いを尊重し、理解し合えるような文化を育むことができます。そしてそれがより良いコラボレーション、より多くのイノベーション、そしてより高い効果をもたらします。

2.境界を越えたネットワークを通してつながる

なぜ境界を越えて協力しなければならないのかをチームが理解するように努め、どうすればより効果的に境界を越えた関係を築けるのかを探りましょう。

ネットワーク分析は、私たちがどのようにして不公平感を生み出しているか、また、多様な人や考え方を取り入れることをどれほど妨げたりしているかを理解するための強力なツールです。まず、カスタマイズされたアンケートや、メールのやり取りなどのデータを収集し、それらの情報をもとに、表に出ていない人間関係や交流のパターンをマッピングすることで、ネットワーク分析の実施を検討してみてはいかがでしょうか。

その結果、少数の人やグループに過度に依存していたり、孤立していたり、貴重な専門知識や見解、コネクションがあるのに交流できていない人がいることが明らかになるでしょう。

EDI/DEIの取り組みを通して、リーダーは、無意識のうちに自分のネットワークに偏見がどのように組み込まれているか、それが自分やチームにどのような制限をもたらしているかを知ることができます。この情報をもとに、自分が交流していない人やグループを特定し、ネットワークを多様化するための目標を設定し、他者を巻き込んで組織の縦割りの関係を越えたつながりを構築するための手段を講じることができます。

3.コーチング、メンタリング、スポンサー制度を強化する。

多くの場合、自分の上司や、組織で有力なリーダーとは「異なるタイプ」の人は、無意識に持つ偏見や組織内の権力構造が原因で、貴重な経験をさせてくれるリーダーとの公平な接点を持つことができず、困難を乗り越えるためのサポートも受けられません。その結果、彼らのキャリアは停滞してしまうのです。

組織は、このような小さな偏見を克服するために、コーチング文化を導入して従業員のコーチングスキルを向上させ、また、すべての従業員の能力開発、貢献、キャリア向上を可能にするためのチャンピオンのネットワークを作ることができます。

  • マネージャーは、すべての直属の部下の声に耳を傾け、フィードバックを与え、サポートを提供し、機会を提供します。
  • メンターは、特定のニーズに合わせて、あるいは継続的な開発のために、指導、フィードバック、サポートを提供します。
  • スポンサーは、一般的にはシニアリーダーですが、対象者のキャリアアップを積極的に応援する効果的なサポーターとなります。
  • 人材管理・人事部は、マネージャー、メンター、スポンサーに上記の期待を伝え、彼らが組織のDEIイニシアチブを成功させるために果たす重要な役割を理解できるようにし、さらにDEIトレーニング、リソース、ツールを提供します。

4.人材育成のプロセスを分析する。

人材育成プロセスは、規範を示したり設定したりするプロセスであり、制度全体を変革するための原動力にもなり得ます。人材の募集、採用、昇進に関連する制度とプロセスを見直すとともに、報酬に関するデータも精査しましょう。また、必要とされる評価やチャレンジ、サポートが提供されているかどうかを見極めながら、従業員の育成方法を検証しましょう。

  • OJTや重要な任務にアクセスできるのは誰か?
  • トレーニングやリーダーシップの経験を積むのは誰か?
  • コーチング、メンタリング、スポンサー制度の対象者は誰か?
  • 個人の現在の能力と将来の可能性はどのように想定されているのか?
  • 一部の人やグループに異なる基準が適用されているか?

また、マネージャーやチームが、仕事の進め方や従業員の経験を形成する仕組みを作っている実務やポリシーを評価し、そこに偏見が入り込んでいないかどうかを確認することも必要です。皆さんの組織には、偏見を克服する方法はありますか?暗黙の規範、スケジュール管理、ネットワーキングの機会、仕事のアレンジメントなど、すべてが再考・改善の余地のある分野です。

5.アイデンティティを掘り下げる。

社会的アイデンティティの概念を知ることで、共通点や相違点は何か、そしてそれらが職場にどのような影響を与えるかを理解することができます。社会的アイデンティティとは、年齢、民族、人種、宗教、性別、性的指向、国籍、教育、身体能力、社会経済的地位などの集団に属することで得られるアイデンティティを指します。アイデンティティを自覚することで、明確な視点や独自の価値観が形成され、時にはそれが権力や特権の根源となります。

不公平感の多くは、長年にわたって確立された構造、無意識に前提としていることや、社会的アイデンティティに結びついた経験によってもたらされます。

コミュニケーション、EDI/DEIトレーニング、会話を通して、自分社会的アイデンティティが、他人との関わり方や意識下の偏見にどのような影響を与えているかを認識できるようになります。また、社会的アイデンティティのダイナミクスが他者の経験をどのように形成しているかを学び、考えることができます。

社会的アイデンティティのレンズを通してダイバーシティを定義することで、すべての従業員が、ダイバーシティ、公平性、インクルージョンの議論に自分を当てはめることができます。

最後に、ほとんどの組織は、多様な人材を惹きつけ、その人材を維持し、関与させ、活躍させるための新しく、より効果的な方法を求めています。組織のユニークな状況とニーズに基づいて、DEIの取り組みにおける重要なアクションを特定することで、リーダーは、ポジティブでより公平な結果を迅速に導き出すことができるとともに、すべての人材を十分に検証・評価し、仕事に従事させることができるでしょう。