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2020/02/05第二回 戦略の明確化と組織のマクロ・アラインメント

第一回はこちらから

 第一回で、『組織開発はその企業の業績をあげるものでなければ意味がない・業績に直結するのはその会社の競争優位性である・日々の活動が変わらなければ出せる結果も変わらない』と書きました。HRBPの重要な仕事は、競争優位性が確立できるよう組織や人財の面から経営者や事業部門長をサポートすることです。
この壮大な目的を実現するために、まず理解しておくべき重要なことがあります。それはかなり多くの企業で見られる組織設計における「8つの悪しき習慣」です。詳しくは今春発売する書籍「『最強の戦略人事』経営にとって最高のCAO/HRBPになる」をお読みいただきたいのですが、悪しき慣習の一番目として挙げられるのが、「組織図の箱いじり」です。AOSは皮肉をこめてこれをBOXOLOGYと呼んでいます。
 先日ある企業でこのような話を聞きました。「経営のデジタル化の流れを促進するために当社も、デジタルトランスフォーメーション部を作りました。」その組織は何をしていくのですか?と尋ねたところ、「それを考えるのはこれからです。そこができそうな人を選び、部長に抜擢しました」と。10年くらい前にもこんな動きがありました。「当社もEコマースを推進することになり、Eコマース事業部を作りました。」何か戦略的なことを推進するために、具体的に何をするのか固まらないうちに、まず箱を作るという行為、これがBOXOLOGYです。
 業績を上げるには競争優位性が必要ですが、組織を作るという行為自体が競争優位性を生み出すことはありません。デジタル化、Eコマース推進で誰に対してどのような価値を提供するのか、その価値は差異化されているのかそこを明確にすることが極めて重要ですが、そのような議論を横において、まず箱を作る、そしてその箱を回せそうな人を抜擢する、ということが頻繁に行われます。
 悪しき慣習を打破し、確実に業績を上げていくために、私たちは3ステップで組織設計を行うべきと考えます。ステップ1は「戦略の明確化」、ステップ2は「組織のマクロアラインメント」、ステップ3は「組織のミクロアラインメント」です。アラインメントとは何かについては後述します。

ステップ1 戦略の明確化
 まず、HRBPは経営者や事業部門が掲げる戦略が、自社を差異化し競争優位性を構築できるだけの内容を伴うものかを明らかにすることから始めます。特に、競合他社が業績を伸ばしているにも関わらず自社の業績が伸びていない場合は、戦略自体が誤っている可能性があります。
 と言っても、当たり前ですがHRBP自体が戦略を策定するわけではありません。それは経営者や事業部門長の仕事です。HRBPがやらなければならないのは、経営者や事業部門長のディスカッションパートナーとなって、上記のような視点から適切な質問を投げかけ、戦略を見直す作業を支援することです。ですので、ある意味コーチングでもあります。
 事業は、ターゲット顧客に対して価値提供を行うことで対価を得ようとする活動です。①ターゲット顧客が誰なのか、そのターゲットを狙うのが正しいのかをまず問います。また、②彼らに提供しようとしている価値が本当に対価を支払ってもよいと思ってもらえるだけのベネフィットを提供できるのか、またその価値は競合が提供できる価値とは差異化されたものであるのか、問いかけます。「お客様は他社ではなく、我が社を選びます。なぜなら・・・・・・・という点で我が社は断然優れているからです」と書いたときの「・・・・・」の部分が明快に言えるかです。さらに、③他社と差異化していくためには、とがっている部分を作ることが重要であり、そのためにも「捨てるもの」をはっきりさせることが極めて重要です。ターゲットにしない顧客、提供しない価値、提供しない地域、使わないチャネルは何かなどを問いかけていきます。

ステップ2 組織のマクロアラインメント
 次がマクロアラインメントです。アラインメントとは、「並べて方向を揃える」ことを意味します。例えば自動車のホイール・アラインメントは、自動車の車輪の取り付け具合を調整して、車が蛇行や横滑りせずに真っすぐに進めるように向きを揃えることを意味します。組織アラインメントとは、戦略が向かう方向に組織の向きを揃えるということですが、別の表現をするのであれば「整合性を取る」ということです。アラインメントには2つの段階があり、マクロアラインメントとミクロアラインメントがあります。そしてマクロアラインメントがステップ2です。
 マクロアラインメントで何と何の向きを揃えるのか(整合させるのか)、それは戦略と「組織能力」と「活動」の3つです。具体的な事例でお話しします。「モノ売りから、ソリューションへ」という戦略転換の話はよく聞くと思います。新しい戦略=顧客の課題を解決するソリューションを提供しようとしたときに、組織としてどのような能力を持たなければならないか(・・・・できる)を定義しようということです。ソリューション提供をしたいと思えば、まず、お客様がどのような課題を抱えているか理解できる必要があります。また、その課題を解決するために製品やサービスなどを組み合わせてソリューションとしてまとめあげられなければなりません。さらに、そのソリューションの意義を説明し購入の決断を導けることも必要です。
 モノを仕入れて売るというのとは明らかに違う組織能力が求められていることがわかると思います。どのような能力が必要であるかが定義できたら、新たな能力が発揮されるために、日々のような活動がなされなければならないか、を明らかにします。さきほどの話に戻りますと、「顧客の課題が理解できる」、言葉で言うのは簡単です。では客とは具体的には誰なのでしょうか?普段つきあっている購買担当者でしょうか?もし、顧客の経営課題を理解すると考えるのであれば、経営者あるいはかなりそれに近い人にヒヤリングを行うという活動が必要になります。また、普段から記事情報などを集めて分析を行うなどの活動も必要になります。
 もうお分かりだと思いますが、新しい戦略を打ち出すと、必ず新しい組織能力およびそれを実現する新たな活動が必要になるのです。「日々の活動が変わらなければ出せる結果も変わらない」と申し上げましたが、まさに戦略に必要な活動を特定するのがマクロアラインメントの重要な作業です。新しい能力と活動を特定することで採用すべき人財や育成体系などが設計できることはもうお分かりになるでしょう。
 もう一つ。これまでとは違う活動をするには、これまでやってきた活動の一部をやめて時間を捻出することが必要になります。価値の薄れた活動を特定し、やめていくこともマクロ設計を成功させる鍵になります。ここにおいてもAOSは独自の手法を持っていますが、今回は割愛をいたします。
 第三回では、戦略的に重要な活動が特定できたあとに、それをどのように制度や人事に落とし込んでいくのか、組織設計の核心である「ステップ3 ミクロアラインメント」について説明したいと思います。

第三回はこちらから

日本の企業はそれぞれ独自の強みをもっているはずです。その潜在力を引き出し顕在化するためには企業のHRBPの方々がこれからお話しするような手法を使いこなして、組織全体を見直し再設計することが極めて重要であると考えています。より詳しくお知りになりたい方は、2月18日に弊社のセミナールームで実施する、HRBPトレーニングの説明会にご参加ください。ただし、ご参加して頂けるのは企業の人事部・経営企画の方のみに限定させて頂きたくご了承頂ければ幸甚に存じます。
 
2月18日開催 HRBPトレーニングの説明会概要・申し込みについてはこちらから

・日 時:2020年2月18日(火) 14:00~16:00
・参加費:無料
・対象者:事業責任者、経営企画部長、人事部長
・会 場:インヴィニオセミナールーム(日比谷線神谷町駅徒歩5分)
東京都港区虎ノ門5-11-1オランダヒルズ森タワーRoP1208

※ご参加は人事部・経営企画の方のみに限定させて頂きたくご了承ください。同業・競合企業の方のご参加はご遠慮ください。